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『冷血』(トルーマン・カポーティ)

トルーマン・カポーティの『冷血』を読み終わりました。


以前、カポーティという映画を見たのですが(以前のエントリー)、
その映画の中でフィリップシーモアホフマン演じるカポーティが
取材・執筆している作品が上記の、『冷血』でした。


1965年発表の作品です。
実際に起こった殺人事件を綿密に取材して、作品にしたというものです。

まず何よりも脱帽したのが、
文章一つ一つに膨大なデータの裏づけがあるだろうことが分かることです。


今でこそ、ノンフィクションジャンルは色々な作品がありますが、
(ちなみに沢木耕太郎の初期作品は大好きです)、
当時にしてみるとかなり真新しいものだったらしく、
以降、カポーティの縮小再生産のようなジャーナリズムが増えたそうですが…。


『冷血』を読んでみたらそれもなんとなく納得。
カポーティ本人がジャーナリズムというよりも、ノンフィクション・ノヴェルと本作品を位置づけているように、
ドキュメンタリーというよりもやはり「物語」です。


逆に、事実とその綿密な取材がベースであり、
最後のクライマックスと終焉を演出を「物語れる」からこそ
生み出せるリアリティ(≠真実)があるのでしょう。


そういった面において厳密には、ドキュメンタリーではないように思えますし、
それゆえ、カポーティに影響を受け、ドキュメンタリー作品に向かった記者が、
(綿密に取材するということは除いて)『冷血』に引きずられてしまえば、
陳腐なセンチメンタルに陥ってしまった作品が量産されてしまったことも不思議ではないかもしれません。

以後、死屍累々の作品を生み出す潮流となった一種の問題作は読む価値ありですよ。

 

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