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心病める人たち―開かれた精神医療へ (岩波新書)

  • 2010-08-27 (金)
  • Book

最近、看護を勉強している友人?から薦められた本を読みました。
看護学校一年目の課題図書として推薦された本だったそうで、近々、取材である精神病院を訪れるということもあり読みました。

心病める人たち―開かれた精神医療へ (岩波新書)
石川 信義
岩波書店
売り上げランキング: 67960
おすすめ度の平均: 5.0
5 精神障害を知る、最初の一冊 
5 「精神障害」に直面した人への最高のバイブル。
5 精神医療の実態を鮮烈に描く


最近読んだ新書の中ではずば抜けて良書だったように思います。

戦後から1990年頃までの日本の精神病院やその治療について、自ら精神病院を設立して治療に取り組んできた石川先生が、ご自身の体験談を交えながら書いてあります。


普通、ちょっと風邪を引いたぐらいでは入院することはありません。せいぜい通院して薬を処方してもらい、家で養生することになります。
そこで医者から「風邪だ大変だ!すぐうちに入院しなさい」なんて言われたら「えっ?」て思います。
ところで、戦後の日本では「精神病」に対して同様のことが行われていたと著者は指摘します。(※僕の解釈も多分に入っていますが・・・)
それまで社会の中で暮らしていた多くの精神障害者が半ば強制的に入院させられてしまいます。
これは世間の偏見などももちろんあったでしょうが、

「国が奨励」→「民間の精神病院が乱立」→「(儲かるので?)入院患者集めに奔走」→「場合によっては本来入院が必要ないレベルの人を入院させ、(退院させない方が医療報酬が払われ儲かるので)良くなった人もひたすら長期入院させ続ける」

という流れもあったのだろうと推測されます。
さらには、精神病院は病床あたりの医師や看護などの医療スタッフの数が少なくてよいという特例があり、少ない人数で大人数を見るわけですから、そこに治療という発想は薄れて、鉄格子がついた病室に押し込み、ひどいところでは暴力によって、患者を支配するというような悪徳病院もあったそうです。


こうなると世間から見た精神病への誤解もデフレスパイラルに陥ります。少人数の医療者で無理矢理多くの患者を「収容」させるために設けた「鉄格子」が、地域の人たちの「鉄格子に入れられるような人を隣に住まわせるのか!」という偏見を呼ぶという悪循環です。
人間「知らないこと」に対しては当然ながら不安を持つ訳ですが、世間と隔離されきた患者さんのことは、当然ながら世間側の私たちも知らないわけで、いっそう「思い込みや偏見」が一人歩きをしてしまうそうです。


しっかりと治療に励む病院が別の問題に直面します。
いわゆる病気にかかって病院に入院した人は、

「入院治療」→「良くなってきたら、社会に送り返し、社会生活を営みながら外来治療」→「回復して社会復帰」

という流れの中で入院治療を受けます。これは精神病においても当然そうあるべきです。しかし、精神病の場合「世間の偏見と差別」により、さらには国の設定する医療制度の方針にも影響を受け、「社会に送り返し、社会生活を営みながら外来治療」というプロセスに進むことが難しかったそうです。(今もそうかもしれない・・・)


当時の日本では、そういった「社会復帰させよう」という意識のある病院は、収入が激減してしまうため、良心的な医療行為と持続性がトレードオフになってしまうという根本的な問題を抱えています。これはより良い精神医療を目指す人たちの大きな足かせになっています。こういった医療の改善のためには、政治や国の政策と無関係でないということもすごく意識させられます。。。


この本は、旧来の精神病院のあり方に対してNOを突きつけて、精神医療に取り組んできた著者の気概にあふれています。とにもかくにも、この問題の「一人称」として自ら奔走してきた著者の声は、資料やデータの寄せ集めでは決してできないメッセージがあり、色々と考えさせられる良書です。


僕が手に取ったこの本は、2009年33刷の本で、1990年からの約20年間読まれ続けてきています。この20年間でまた精神医療の現在がどう変わったかもすごく興味のあるところです。


石川先生が挙げていた問題点や課題点は改善されているのでしょうか。


ゆるゆる調べてみようかと思います。

 

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