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「落語は人間の業の肯定である」

立川談春の『赤めだか』を読んだ。

近くの本屋で平積みされていたのに少し気になっていたところ、
時々、出稽古させていただいている上野先生(落語好き)に、
写真の世界を話いただいた際、「『赤めだか』という本があって、写真の世界もあれと同じだよ。」とお勧めいただいたこともあり、手に取った。

談春は、以前、一度聞いたことがあるんですが(以前のエントリー、立川談春の落語を聞いて来ました)、
『赤めだか』は、自叙伝というか、エッセーというか、な感じです。


カメラマンの仕事であるところの「撮影」も一種の「芸」と考えたときに、
とてもしっくり来ることが多い――。
「芸を盗めなんて言うが、あれはキャリアのできる人間でしかできない」
「初めは型をまねることから始めよ」
「型のできてないやつが芝居をすると型なしになる。型のできているやつがオリジナリティを出せば型破りになる」
「型を作るには稽古しかない」
「やるやつはやるなと言ってもやるし、やらないやつはやれと言ってもやらない」

…空手の型でも同じことを聞いたし、剣道でも「守破離」ってあるけど、
やはりどの世界でも「道」は長いってことだよね。


しかし、談春が、高校を辞めて親に勘当され、住み込みの新聞配達をしながら弟子になった際の、談志の言いようがなんとも面白い。
端的にまとめると「落語家として成功したら美談になる。よしんば失敗しても、いっぱいやっているときのグチのネタになる」というもの。決して、一所懸命やりなさいとは、言わず、人生は決して思い通りに行くわけではないが、どう転んでもそれほど悪いことばかりではないだろう、ということを言外に伝えているのだろう、とのこと。

そういえば、以前、カメラマンとしては面白い経歴だから、成功したら面白いぜ、と言われたことがある。確かに、面白いかもね(逆に「退路だろ」って言われもするけどさ)。
この世界でいうと亜流で生きている以上、使えるものは使わないとだし、やるなと言われてもやらないと生きていけないような気がする。

自分と照らし合わせてもよい具合に引き締めてくれる本だった。


「落語は人間の業の肯定である」(談志)。
僕も見たいな人間も肯定してくれるというのだから、落語をもっと聞いてみようかな。
最近読んだ中ではかなりヒットでした。


ちなみに志らくの落語をPodcastingで見つけたので初めて聞いてみた。。。
「落語に狂気を持ち込む」志らくも、面白かったけど、談春の方が好きだ。

 

Comments:4

No Name 2008-08-18 (月) 06:25

何かひさしぶりにいい文章を読んだ気がするよ
しばらく会ってないから会いたいね。
まだ姫路で働いてます

kibe 2008-08-18 (月) 10:51

うーん。名前が無記名だよ。w
まぁ、誰か分かるけどさ。

そだよねー。

長らく会ってないし、会いたいなー。

姫路の仕事も今年はなくて。。。orz

でも、またあそぼー。

ゆうちゃん 2008-08-19 (火) 18:26

俺も退路なんかな~、そう考えたら病むな(笑)
雑誌のときよりはベターになったんかな。

近日、落語に連れてって!

kibe 2008-08-19 (火) 23:11

>ゆうちゃん

うーん。
そうね。雑誌のときよりも生き生きしてる気はするかも。

ちなみに僕の場合の「退路」と君のは全く違う定義だし、
僕の定義だと君のは「退路」じゃないと思うよー。

自分の持ち場を守る、ことをしているわけだし。

ところで、立川談志、志の輔、談春、志らくの落語チケットは全然取れないらしいぞよ。
行きたいけどさぁ。。。

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