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写真のお値段の話③…著作権について

撮影を発注する人もカメラマンも自身もあまり考えてないケースが多いような気もしますが、発注された仕事の「著作権」はどうなっているんでしょうね。


フリーのカメラマンが雑誌編集部から発注を受けて撮影した写真の著作権は、まぁ間違いなくカメラマンにあるでしょう(契約書は交わしてないにしても)。

というのは、雑誌の場合、拘束あたりでペイが発生するというよりも、写真の使用枚数やページ数に応じて支払いが生じるケースが大半だからです。

これは、「カメラマンがもっている写真を、雑誌が拝借して使用権を払っている」という考え方に基づきます。

よって、雑誌等で同じ写真が再度使われる場合は、都度、支払いが行われます。
(Amanaとかのライツマネージもこういう考え方ですよね。多分…)

逆に、著作権がカメラマンに残らないケースはどんなケースか??

雑誌社や新聞社に所属するカメラマン――社カメと呼ばれる人たちの取る写真の著作権はカメラマンではなく、所属する会社に買い上げられていることになります。

新聞社は今はデジカメが主流ですので、元のデータはカメラマンの手元にも残りますが、フイルムで撮影していた頃は、会社にフイルムを全て回収されていたでしょうし(所属してなかったで推測ですが…)、その写真が再度使われることになっても、写真の使用料が支払われることはありません。

会社組織にしてみれば、著作権管理にイチイチうるさい(まぁ、多くのフリーカメラマンは立場が弱いせいもあり、結構な融通を利かせますが…苦笑)フリーのカメラマンよりも、そりゃ社カメを使うでしょう。作家性が求められなければ特に。

まぁ写カメも著作権が残らない代わりに、逆に色々な経験が積めたり、月々固定のサラリーで生活の安定は保証されるわけですが。。。

次に時間拘束で値段設定をしている場合――。
これはちょっと色々と議論の余地がある思うのですが、
私なんかは、WEBサイトで使う写真の撮影を依頼されることが割と多いです。

この場合、問題なのは著作権の管理です。
たとえば、紙媒体は基本的に一回印刷してしまったらそれっきりです(とはいえ、一般図書は、増刷されても写真集でもない限り再び入金されることがありませんが…)。
ですが、WEBに関しては、下手したら半無期限に掲載され続けます。

芸能プロダクションなんかはそこらへん(割と)しっかりしたもので、ワンクール(≒3ヶ月)ごとでタレントさんの肖像権の値段設定をして、掲載期間が長くなればその分のペイを発生させます(テレビでの管理をそのままWEBにも適用させたということでしょうけど)。

逆にこれと同じことを、そこらへんのカメラマンがうるさく言ってたらまぁ残念ながら仕事は来ないでしょうね。
ので、「基本的にずっと使っても大丈夫ですよ」的な融通を(敢えて言いませんけど)利かせています。

まぁタレントさんの場合、「肖像権を提供」(→プライベートとトレードオフでしょ?)していて、「タレントさん自体が年を取っていく」し、ずっとひとつの媒体に掲載されていたら、その間「同業他社の広告に出演できない」などの問題が生じるので、期間で厳密に管理するのは当然といえば当然で、カメラマンが自分の写真の掲載に融通を利かせても直接的なデメリットはないので(むしろメリットあり?)当然といえば当然かもしれません。


さすがに1日拘束数万円とかで著作権を放棄しろとまで言われると反発しますが、
ECサイト用の撮影やパーティの記録撮影とかお願いされて撮ったものの著作権までも死守しようとは(私個人は)特に思わないので、そこらへんはもう、たとえば、使用枚数ではなく、時間拘束を単位に値段設定したりします。時間単位でお金をもらっているということは、その間の労働に関しては権利買い取りということになるでしょう。

敢えて時間単位でそこそこ高めに設定することで、「好きなだけ使ってくださいね。(納品枚数のボトムラインを設定してはいますが)可能な限り写真も提供しまっせ~」という感じになります。こっちも生活がかかってますから、どうせその日1日つぶれるのであれば、2時間だけの拘束よりも、そこそこ枚数を納品しますから5時間拘束してもらって、ギャラをあげてもらう方が僕はいいです。

作品作りと仕事を別にするのであれば、仕事のギャラが高いほうがプライベートの時間も作りやすいですし、お客さんと互いに歩み寄れたほうがお互いに益ですもんね。

同業者で何が何でも著作権は自分のものだってスタンスの人もいますけど、仕事の受注形態を見るに必ずしも著作権を主張できないでしょ?って突っ込みたくなるような人もいます。

カメラマンとして絶対に権利を死守したい場合もあるわけですから、写真で食っている人は絶対に一度考えたほうがいいですよ。仕事面でもメリハリつけないとですよ。

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